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丸善が私のスーパー銭湯 [偽善者の日記]

 我が家には書斎があった。机の上にノートパソコンと無造作に並んだ本。手狭ではあったがあれは確かに書斎だった。使わなかったけど・・・

 子供の頃から家では机に向かう習慣がなかった。今も家にいるとき、大抵のことは居間の卓袱台で済ませる。仕事など集中したいことがある時は、子供たちを居間から追い出す。
「私には書斎なんて必要なかったのだ」と思っていたのだけれど、書斎に求めるべき機能が違っていたのかもしれない。『書斎の鍵』は「書斎は心の浴室」と説く。何じゃそれと思った人、是非読んで欲しいです。

 本屋や図書館で背表紙を眺めるのが好きで今も職場への行き帰りにフラフラと立ち寄る。興味のあるテーマのコーナーからはその分野で知るべき全容を推し量る。新刊のコーナーの前では、最近他で得た情報の扱われ方を見る。好きな作家の作品が置いてある棚は、新刊が出ていなくても時々覗く。そこに並ぶ作品を眺め、以前読んだ内容を反芻する。

 書斎が心の浴室であるならば、小さな書店は心の温泉旅館。大型書店はスーパー銭湯といえるかもしれない。


書斎の鍵 (父が遺した「人生の奇跡」)

書斎の鍵 (父が遺した「人生の奇跡」)

  • 作者: 喜多川 泰
  • 出版社/メーカー: 現代書林
  • 発売日: 2015/06/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ふり幅の広い人でありたい [偽善者の日記]

 常識的で堅物だけど抜けたところがある主人公の政と、非常識だけど人情の機微に敏感な源。『政と源』は73歳の幼なじみの交流を主軸にした三浦しをんお得意の凸凹コンビの物語。主役をじいさんにすることで人生の重みという安定作用が働き、他作品で感じた男としてちょっと恥ずかしくなる友情の過大美化が気にならない。私としては、他の有名な賞をとった作品より好きだ。


政と源

政と源

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


 このところ仕事関連の本ばかり読んで、頭が効率的に文字を追うようになっていたのでじっくりと味わうように読んだ。政のようなキャラクターになるかのように突き進んでいたが、本書のおかげで自分の源的な一面を掘り起こせて、ちょっとした軌道修正になったと思う。


 読後にふとわいた疑問。私の周りは私の中に常識的な堅物と非常識な異端児のどちらを見ているのだろう?


わが街の注目企業 『井上スパイス工業株式会社』 [偽善者の日記]

 数年前、ちょっと覗いた地元のお祭りで食べたカレーが、自治体主催のお祭りレベルに収まらないおいしさで『井上スパイス』の名前が胸に刻まれた。井上スパイスはその名の通り、香辛料やレトルトカレーのメーカーで、飲食店を経営しているわけではない。なので特製カレーが食べられるのは年に一度のお祭りの時だけ(と思っていた)。お祭り以外ではスーパーの地元食材コーナーでアッピーカレーをたまに買うくらいのちょっと物足りない関係がしばらく続いた。
 そんな片思い的な間柄に新たな展開を与えたのが、地域のコミュニティマガジン。なんと昨年の12月に本社敷地内に飲食店を出店していたとのこと。企業サイトも確認すると4月にはカレー祭りなるものも開催していたらしい。カレー祭りを逃したショックは大きく、自分の情報感度の低さを大いに悔やんだ。

 井上ラブから文章を書き始めたけど、スパイスがピリッと効いた記事にならない。つべこべ書かずにまずはカレーを食べに行けということだな。


義母と戯れる春 [偽善者の日記]

 夜中に足がつった。

 奈良から妻の手伝いに来ている義母とのコミュニケーション活性のため朝食の席で報告した。
「わたしもたまになりますのんや。塩分が不足してるんですわ。最近はなんでも減塩減塩でっしゃろ?体のミネラルが不足すると足がつったりするんです。良い天然の塩をひとつまみ舐めるとならんようになります」
「ああ、それ聞いたことがあります。天然塩かぁ・・・こんなのを食べてもダメですよね?使ってるのはきっと精製塩だろうし」
 食卓に並ぶ塩がたっぷりまぶしてある塩昆布を指さす。
「何だっていいんですよ。ちょっと塩分をとれば」
「いやミネラル豊富な天然塩がいいんじゃ・・・」
「もう、パキさんは理屈っぽいですな。Na!ナトリウムを取ればいいんです!」
「ミネラルが無くなってますよ。さらに最初に理屈をこねたのも、今こねてるのもお義母さんなんですけど・・・」
 とりえずコミュニケーションの量はかせいだ。

この前の義母
>>義母と戯れる秋


末娘が茂木先生に似ている [偽善者の日記]


僕たちは美しく生きていけるのだろうか。

僕たちは美しく生きていけるのだろうか。

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/09/08
  • メディア: 単行本


 私の中で脳科学者といえば茂木先生。メディアで見かけた当初、脳科学という分野を研究している学者は茂木先生しかいないものと勘違いしていた人も多いだろう。
 ところで脳科学については「アハ」以外の知識が一切ない。合コンネタの準備も不要なステータスになり、特に知識を深めたい対象ではなかった。にも関わらず本書を読んでしまったのは「はじめに」で語られる尾崎豊を熱唱する茂木先生になんとなく共感してしまったのだろう。
 中身は美を学術的に論じる一方で、茂木先生が若かかりし頃感じた思いを美という観点でとらえ直すエッセイ的な文章が混ざる。そのエッセイ的な文章に使われるエピソードがいい。
 講師をしていた予備校近くの汚いラーメン屋と気の良さそうなおかみさんのいる寿司屋を語る節。「はじめに」で語られた成長にともなう友人達の変化。その時点では何の感慨もない出来事でも今その時間へ記憶をたどると、全てのものは皆美しい。そんな気持ちにさせられる。
 一冊まるごとをこの形式を貫いてくれたら、私好みの本になっていただろう。

梨木 香歩は好きな小説家の一人です [偽善者の日記]


岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

  • 作者: 梨木 香歩
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2015/09/09
  • メディア: 単行本


『岸辺のヤービ』は、長編ファンタジーの序章という位置づけらしく、登場人物の性格を丁寧に拾い、舞台や設定などこれから展開してく物語の枠組みを読者に提示して、次作以降の広がりを予感させる作りとなっている。
 児童文学に分類されているのだが、物語にちりばめられているのは、ネオコチノイドの影響を想起させる蜂の減少や異常気象による水源の変化、菜食主義者などマイノリティへの配慮など新聞で扱われるような社会問題。そこに自分の周囲の環境や対人関係などに対する思春期特有の敏感な感性というスパイスを加えている。ヤービという架空の生き物を主役に置いてファンタジーに仕上げているが、けっこう硬派な物語だ。
 これからの展開は『僕は、そして僕たちはどう生きるか』の時に感じた「考えて。もっと考えて。で行動するの?しないの?」的な問いかけをヤービというオブラートに包みつつ読者に投げかけてきそうな気がする。作者が一般大人向けの小説で描く"諦め"を振り払い、若い世代に問いかけることで自分が大切にしてきたことを守ってくれる次の世代を育てたい、そんな思いを感じた。

調子が悪いところがないわけではない [偽善者の日記]

 健康診断の結果が返ってきた。

総合判定A

 受ける前は「健康診断なんて結局わかる病気しかわからないだよね」なんて当たり前のことをうそぶいていたが、わかり易い病気にはかかっていないようだ。わかりにくい病気にかかっているのなら、そのまま気づかずに日々過ごしていければと。

あの日のかっぽうぎは眩しかった [偽善者の日記]

 並べられたお総菜から何を選ぼうかと悩んでいると「温かいのを出し直すので言ってくださいね」とおばちゃんが笑顔で対応してくれる。
 メインに筑前煮。小皿にはきんぴらゴボウ、青菜のおひたし、アジフライをチョイス。ご飯は少なめと伝えると目の前で分量を確認しながら盛ってくれる。
 ここは『かっぽうぎ』店名に違わぬ気さくなおばちゃんが接客にあたる。何となく店の雰囲気も明るい。

 しかし!
 おばちゃん達が身に纏うのは、エプロン。これは如何なものかと問い正しかけて、はたと気づいた。

 『あの日』の影響だ!

 あの日、一時的に盛り上がったかっぽうぎというコスプレは、その後のバッシングによりSTAP細胞以上の負のイメージを背負ってしまったのだ。フネさんが地道に築いたイメージに乗っかって、ブランドを確立しようとしたフジオフードシステムは戦略の転換を余儀なくされたに違いない。
 さっきまで感じていた店の明るい雰囲気は虚構だった。おばちゃん達の笑顔の裏に、エプロンによって盛り返しつつあった経営が『あの日』の出版による余波で、再度脅かされ時給が下がることに怯える素顔が伺えた。

がんばれ『かっぽうぎ』
がんばれおばちゃん達
がんばれSTAP細胞
がんばれ
fune.png



あの日

あの日

  • 作者: 小保方 晴子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/01/29
  • メディア: 単行本



おおやけ基地 [偽善者の日記]

「お父さん、秘密基地作るから手伝って」長女が誘う。
 秘密基地という言葉が私の中に潜む少年の皮をかぶったおじさん心をくすぐる。
 手伝いたい。でも面倒くさい。
「秘密基地は子供だけで作るから面白いんだよ」と私。

 子供達は、物置から段ボールを引っ張り出し、ウッドデッキの上に仕切を作り始めた。風の強い日で、並べるそばから飛ばされる段ボール。長女の指示で大きな石を集め重しにする次女と長男。なかなか統率がとれている。
 形になってくると、私も手を出したくてうずうずしてくる。が、”子供が集中して何かに取り組んでいる時は邪魔ををするべからず”たしか子育て番組で言っていた。
 頃合いを見計らって、ビニールシートをプレゼントする。雨対策は重要だ。しばらくしてから覗くと、私が買ったことも忘れていた園芸用の長い支柱を見つけてきて柿の木と組み合わせ、屋根らしきものを作り始めていた。はしごも使ったようで少し高めの屋根になっている。良い出来映えだ。

「いいじゃない」と私。
「でも。道路から見てもなんかあるってわかって秘密になってないよね」と長女。

 翌朝、天気は雨。風はなく屋根が機能したおかげで、段ボールの濡れは少ない。
 我が家の庭は畑を挟んで通学路に面している。登校中の長女を観察してみた。
 黄色い帽子を目深にかぶった長女は、傘を揺らしながら秘密基地を指さし、登校班のみんなに何かを楽しそうに語りながら歩いていた。


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哲学の深みにははまれそうにない [偽善者の日記]

 偉人達の残す逸話はいい。
 古代ギリシャの哲学者ディオゲネスの逸話を知っている人は多いと思う。

紀元前336年、アレクサンドロス大王がコリントスに将軍として訪れたとき、ディオゲネスが挨拶に来なかったので、大王の方から会いに行った。ディオゲネスは、体育場の隅にいて日向ぼっこをしていた。大勢の供を連れたアレクサンドロス大王が挨拶をして、何か希望はないかと聞くと、「あなたがそこに立たれると日陰になるからどいてください」とだけ言った。帰途、大王は「私がもしアレクサンドロスでなかったらディオゲネスになりたい」と言った。

 『哲学な日々』の著者は「哲学の先生って、研究室で、何をしているのですか?」という高校生の問いへの回答の中でこの逸話を紹介しこう締めくくる。「いい話ですよね。だから何だというわけでもないですが」
 余計な一言が多い人は世の中に私を含め五万といるが、哲学者のそれはシンプルで面白い。大笑いさせてくれる人は芸人に、くすりと笑わせてくれる人は哲学者になるのかもしれない。


哲学な日々 考えさせない時代に抗して

哲学な日々 考えさせない時代に抗して

  • 作者: 野矢 茂樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/10/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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